埼玉県警が、2014年4月までの約8年間に、
県公安委員会の意思決定がないままに、
道路交通法違反の取り締まりをしていたことを
発表しました。
その8年間に取り締まりをした人数は、2,400人。
それら全員を対象にして、反則金の返還を行うようです。
しかしこの事件、ちょっと不可解だと思いませんか?
「公安委員会の意思決定」って何?
この事件は、車両通行帯違反を取り締まった際に、
県公安委員会の意思決定が無かったために、
取り締まりが無効になったというものです。
ちなみに「車両通行帯違反」とは、
高速道路などで追い越し車線を走り続けるような
行為を主に指します。
この件で不可解なのが、
「県公安委員会の意思決定」がなかったから、
取り締まりが無効になったという点。
つまり、事実上の取り締まりの方法には問題はなかったのだが、
取り締まりをするにあたっての必要な手続きを怠ったから無効
ということかと思います。
公安委員会ってそもそも何?
公安委員会とは、強力な権力を持っている警察を、
国民や県民の代表者が管理する組織です。
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つまり、平たく言えば警察が偏った判断や行為を
行わないように監視している機関であると言えます。
この公安委員会が下す意思決定はかなり範囲が広く、
下記のような物があります。
以下、一部引用
○ 風俗営業の許可及び営業の取消し又は停止
○ 質屋営業の許可及び許可の取消又は営業の停止
○ 古物営業の許可及び許可の取消し
○ 銃砲又は刀剣類の所持許可
○ 特定物質の運搬届出の受理及び運搬証明書の交付
○ 武器製造法に基づく経済産業大臣及び知事からの諸通報の受理
○ 火薬類等の譲渡、譲受の許可及び運搬届出の受理、運搬証明書の交付
○ 高圧ガスの製造許可等の通報受理
○ 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律に基づく、通報の受理
○ 消防法に基づく、製造所、取扱所の許可による市町村長からの通報の受理
○ 核原料物質、核燃料物質等の運搬等届出書の受理及び運搬証明書の交付
○ 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に基づく運搬届の受理
○ 警備業法に基づく、警備業者の認定及び認定の取消し
○ 不正アクセス行為の禁止等に関する法律に基づくアクセス管理者に対する援助の実施
○ ストーカー行為等の規制等に関する法律に基づく警告を発出した際の報告受理及び禁止命令
○ 指定暴力団の指定、暴力的要求行為に対する中止命令、再発防止命令
○ 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に基づく傍受令状の請求手続き
○ 交通規制の実施、自動車運転免許の交付及び免許の取消し又は効力の停止
○ 道路管理者への意見及び道路の通行禁止、制限に関する通知の受理
○ 駐車場法に基づく知事への意見
○ 自動車ターミナル法に基づく国土交通大臣への意見
○ 保管場所が確保されていない自動車の運行供用の制限
○ 高速自動車国道法に基づく、国土交通大臣への意見及び通行禁止、制限に関する通知の受理
○ 自動車道の整備に関する法律に基づく、自動車の安全確保のための交通規制の実施
○ 災害対策基本法に基づく、災害発生時における緊急車両以外の車両の通行禁止又は制限
この内容を見ると、公安委員会の意思決定がなければ、
警察はほとんどその役割を果たすことが出来ないことが分かります。
今回の事件で分かること
今回のケースで率直に思うのは、
公安委員会の権力が絶大であることです。
埼玉県警も車両通行帯違反が全くないところで、
犯罪をでっち上げたわけではないはずなです。
つまり、本当にただ「公安委員会の意思決定」がなかったというだけで、
本来であれば犯罪であったものが、
犯罪でなくなっている側面があります。
そして、そのことに8年間気づかないということや、
気づいた時に正直に発表するというのも驚きです。
恐らくは誰かがこの情報を掴んで、指摘をしたかと思うのですが、
一体何がきっかけでこの情報に気づいたのでしょうか?
警察と公安委員会の関係も複雑ですし、
色々と不可解ながらも、勉強になるニュースでした。