「自爆営業」という言葉をご存知でしょうか?
これは会社が課したノルマを達成するために、
社員が自ら自社の製品を購入することをさします。
この「自爆営業」、最近ではかなりひどい実態のようです。
法的な見解と合わせて調べてみました。
自爆営業の具体例
自爆営業が頻繁に見られる有名な業界に、
郵便局があります。
郵便局では、年賀状やかもめ~る、ふるさと小包便という商品などに対し、
一人ひとりにノルマが課され、そのノルマを達成できないと、
朝礼の際にみんなの前で上司に罵倒をされながら、
謝罪をするということも行われているそうです。
また最近では、正社員だけでなく、コンビニのアルバイトでも、
クリスマスのケーキ販売のノルマが課されて、
それを達成できないと自腹で買うという例もあるそうです。
正直、かなりひどい状況ですね・・・。
しかし、なぜこのようなことが必要になるのでしょうか?
自爆営業をしなければならない理由
先の郵便局の例で言えば、ノルマを達成することが、
昇進の為の唯一の手段となるという背景があるようです。
特に、郵便局の非正規雇用の労働者の6割が、
年収200万円以下であり、定期昇給や賞与もありません。
そこで生活水準を上げるためには、
ノルマを達成するしかないのです。
もちろん、ノルマを達成したからといって確実に良い評価を
もらえるわけではありませんが、評定を引き合いに出されると、
従わざるを得ないということでした。
そこで、年賀状の場合は都内の金券ショップなどで、
自腹購入したものを「転売」するという方法を取っている人も
いるようで、彼らの切羽詰まった事情が伺えます。
自爆営業は違法ではないのか?
当然気になるのが、これらの行為が違法ではないのかということ。
これに関しての法的な見解は以下のとおりです。
営業社員やそれに準ずる社員を評価する上で、
ノルマというのはひとつの重要な指標であり、
それを課すことに問題は無いそうです。
しかしながら、そのノルマがあまりにも現実的でなく、
過大なものである場合は違法となるケースがあるそうです。
また、明らかに嫌がらせ目的であるという場合も、
違法になるとのことでした。
ノルマを達成できなかったことで、人事上のマイナス評価をつけたり、
それによるボーナスの減額等は、企業の人事権の範囲内で、
問題は無いそうです。
しかしながら、「部長が課長に降格になる」というような事にまで
発展すると、その給与の減額幅次第では違法になる可能性が高いとのこと。
そして就業規則等に記載していない罰金等を課した場合は
完全にアウト(違法)ということでした。
確かに言われてみると、上記の見解はもっともなのですが、
もともとの立場がそれほど強くない従業員を守ってくれるような
法律では今のところ無いようです。
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そもそも、作った製品が売れないというのは完全に経営サイドや
マーケティングサイドの責任が大きいです。
必要とされないものを多く作れば、それが売れ残るのは当然です。
その失敗や責任を立場の弱い従業員に転嫁している現状は、
法的な問題がなくとも、かなりの違和感を感じてしまいます。
自爆営業を強いるような会社には、
「売れる製品とはなにか?」ということを、
もっと真摯に追求してほしいものです。